徒労捜査官

人間なのか何なのかよくわからない連続殺人犯を追う捜査官たちの不活躍を描いた小説非小説

2015-12-02から1日間の記事一覧

34. だんご女

章吾との口論のすえ、千枝は、裸足のまま監房を飛び出し、刑務所を出て、行く当てもなく商店街を歩き出した。 ときどき振り向くが、章吾は後を追ってこない。 「やっぱり彼は、あたしより便器を愛してたんだわ」 千枝は、両手で顔を覆うと、しゃがみ込んで嗚…

Kindleストアで拙著『怒りのブドウ球菌』(前後編)を販売しています。